パリで不動産を購入したい

 パリにおける不動産取引は、日本のそれとは大きく異なります。パリでは、土地=不動産という概念は全くといってよいほど通用しません。慎重にことに当たらねばなりませんので、その辺のところを予備知識として、できるだけ簡潔にご説明します。

所有権または区分所有権の売買について

 パリにおいては不動産の所有権の売買は、直接的な土地の売買はほとんどなく、建物の所有権あるいは建物一部分の区分所有権の売買が中心となります。古くからある建築物がほとんどで、歴史的景観保全のためそれら建築物を保護しており、建物のリフォームはありますが、建て替えは数が少なくなります。

 また、個々の建物でどのような商売が出来るか、つまり建物が過去から継承している固有の営業権および建物の賃貸借契約書(バイユbailという)に定められている賃借権が不動産的な価値を持っており、売買の対象となっているのです。                           ただし、このことは、住宅物件には関係がありません。住宅物件においては、所有権の移転だけが行われます。住宅の賃借は、日本と変わるところはありません。
(営業権と賃借権とは別の概念ですが、一般的には賃借権のない営業権が一人歩きすることはないので、ここでは両者をまとめて「営業賃借権」=「バイユbail」と呼びます。また、不動産取引では「fondsフォン」という言葉がよく使われますが、日本語に翻訳するのが難しい言葉です。ここではバイユを使うことにしますが、同じような概念と考えてください。)

 建物および建物の一部は不動産そのものですが、一般にフランスでは総称して「壁」=「ミュールles murs」と呼び、営業賃借権付(区分)所有権の売買を「壁の売買」=「Vents de Murs」と呼びます。
この「壁・ミュール」は、建物の新築がほとんどないつまり供給が少ない状況下では値下がりはしにくく、価値は高く安定的ですが、そのため売買価格も高くなっています。
 物件を売りに出す場合、この営業賃借権付(区分)所有権の売買もありますが、レストラン、ブティク等の店舗の取引にあっては、所有権を変えることなく、営業賃借権(バイユ)のみの譲渡を行う方式の売買が多く、このことについて次にご説明します。